ピューリッツァー賞

2015年05月10日その他

震災の取材で東北で一緒になって以来、取材の仕方についても色々とアドバイスをくれた、オーストラリア人のフォトジャーナリストのダニエルが今年のピューリッツァー賞の写真部門を受賞したそう。一昨年、スタッフの仕事を辞めて、フリーランスになったダニエルは今年エボラ出血熱の取材で4ヶ月西アフリカに滞在し、ニューヨークタイムズ紙で発表しながら取材を続けました。もしも日本人ジャーナリストがエボラ取材で西アフリカに4ヶ月滞在したら、本人は凄く真面目に取材しているつもりが、残念ながら日本の社会では単なる「迷惑な変人」としか扱われないんだろうな。

http://lens.blogs.nytimes.com/2015/04/20/daniel-berehulak-the-ebola-crisis-earn-photography-pulitzer/?module=BlogPost-Title&version=Blog+Main&contentCollection=Multimedia&action=Click&pgtype=Blogs&region=Body&_r=1

昨年、人権団体アムネスティー・インターナショナルが主催するイベントに出席するため1週間イギリスに滞在した時に思ったこと→
私が参加したのはテレビやラジオ、雑誌、新聞など昨年イギリスのメディアで発表された海外報道に関わったジャーナリストやカメラマンが出席するイベント。そこでは発表された記事やテレビ映像などを見る機会があったが、その時に感じたのが、 フリーランスだけではなく、イギリスの大手メディアのジャーナリストたちもシリアやルーマニア、ウクライナ、中央アフリカ、イラクなどに入って、それもただ入っただけではなくて本当に深く現地の人たちの生活に密着して取材をしていること。よくありがちな、政府の広報機関の発表や統計的なこと、海外のメディアの情報に頼って得た表面的な情報を流すのではなくて、しっかり中身のある取材をしている。そういう活動をするジャーナリストたちをサポートする団体がイギリスには数多くあるのだな〜と改めて実感した。また、この期間中、私が所属するイギリスのフォトエージェンシーのスタッフから、今後西アフリカでエボラの取材をするジャーナリストとフォトグラファーを対象にBBCでトレーニングセッションがあることを聞き、参加してきた。参加をした理由はエボラの取材をするからという理由ではなくて、今後もしもこのような現場で取材をする機会がある時にどのようにリスクを向き合わなければいけないか知識を持っていた方がいいと思ったから。このトレーニングはイギリス政府組織の一つである「イングランド保健局」がイギリスのメディアに所属するジャーナリストとカメラマン向けに開催したもので、会場には今までエボラの治療に携わった医療関係者が、これから西アフリカに行く予定の約50人のジャーナリストたちを対象に帰国後の家族との関わりや現地での取材活動の仕方についてなどアドバイスをしていた。 一方で、日本からエボラの取材をするために西アフリカに行くジャーナリストに対して、取材に行くな、あるいは行くなら勝手に行って日本に帰ってくるなという意見が日本で多くあるのは、つまり遠い国で起きている問題は日本には関係ないから持ち込むなということなのかな、、、。政府機関や民間NGO、フリーランス、大手メディアが協力し合って、取材が難しい地域からの情報を発信する仕事をサポートし合うイギリスの状況は、情勢が不安定な国へ行って取材をする特にフリーのジャーナリストや写真家たちの仕事に対する理解があまりに少ない日本とは対照的だなと実感した。