東日本大震災 混沌と静寂

 2011年3月11日、東北地方の三陸沖でマグニチュード9.0の巨大地震は発生。その3日後、真っ白な雪が降り注いでいた岩手県釜石市に初めて入った。大木の枝に絡まった洋服や、津波に飲み込まれて息絶えた動物たちの死骸、家具や車、住居などありとあらゆるものが津波に流されていた。瓦礫の中には思い出の写真が溢れていた。避難所の体育館では、水を貯めたバケツから少しずつ水をよそい、小さな娘の歯を磨いている父親や、首から行方不明の妻の写真をぶら下げて情報提供を求める男性もいた。
震災から4ヶ月が経った7月12日、両親を震災で亡くしたある男性からメールが届いた。4月に宮城県山元町で撮影した身元不明者の仮埋葬の写真の中に当時行方不明だった両親お棺を見つけた、という内容だった。7月初めにDNA鑑定の結果が出た際に、棺の埋葬管理番号が判明したらしい。私が既に発表していた写真の中に両親の棺番号を偶然見つけたのだという。メッセージの最後に、仲の良かった両親についてこう記されてあった。「同じ日に別々の場所で発見され身元不明だった両親の遺体の棺が、偶然隣り合わせで一緒に仮埋葬され、掘り起こされた日も、火葬された日も一緒。お寺でも骨壺が隣同士。いつまでくっついていれば気がすむのでしょう、この夫婦」。
2014年12月時点で、まだ2594人が行方不明のまま自宅や家族のもとに戻ることができないでいる。

  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail
  • thumbnail